市役所職員を騙る「還付金詐欺」の最新手口と家族で防ぐ具体的な対策
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今回は、市役所職員や公的機関の担当者を名乗り、高齢者を狙う「還付金詐欺」の最新手口と、その具体的な対策について詳しく解説いたします。還付金詐欺は、年金や医療費など公的な制度を悪用し、「お金が戻ってくる」という甘い言葉で高齢者を誘い込む非常に悪質な詐欺です。大切なご家族を守るために、ぜひ本記事で最新の知識と対策を身につけてください。
還付金詐欺とは?その巧妙な手口の概要
還付金詐欺とは、公的機関の職員などを装い、電話や訪問によって「医療費の払い戻しがある」「年金に未払いがある」といった名目で、高齢者にATM(現金自動預払機)を操作させ、実際には犯人の口座へ現金を振り込ませる詐欺の手口です。最近では、キャッシュカードを騙し取る手口と連携することもあり、被害がより深刻化しています。
詐欺犯は、高齢者が公的な手続きに不慣れであることや、「お金が戻ってくる」という心理を利用して、冷静な判断を奪おうとします。
最新の具体的な事例と詐欺犯の言葉巧みな誘導
還付金詐欺は、以下のような流れで高齢者を騙そうとします。
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公的機関を名乗る電話: 詐欺犯は、市役所の健康保険課、年金事務所、あるいは税務署などを名乗り、高齢者に電話をかけます。
- 「〇〇市の健康保険課の△△です。医療費の還付金があるので、期限内に手続きが必要です。」
- 「年金の払い戻しがありますが、本日が申請の最終日です。」
- 「税金の一部が還付されます。この電話の後、すぐに手続きをしてください。」 このように、緊急性を強調し、考える時間を与えないのが特徴です。
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個人情報の聞き出しと誘導: 犯人は、高齢者の氏名、住所、生年月日、利用している銀行名などを確認しようとします。すでにこれらの情報の一部を知っているかのように装い、信頼させようとすることもあります。
- 「普段ご利用の銀行はどちらですか。ゆうちょ銀行でしょうか、それとも〇〇銀行でしょうか。」
- 「手続きにはキャッシュカードが必要です。今お持ちですか。」 そして、具体的な手続き方法として、ATMの操作を指示します。
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ATMへの誘導と振込指示: 犯人は、ATMの場所を尋ね、最も近いATMに行くよう指示します。
- 「還付金の手続きはATMでしかできません。近くのコンビニエンスストアやスーパーにあるATMへ向かってください。」 ATMに到着すると、電話口で操作方法を具体的に指示します。この際、高齢者に見慣れない専門用語を使い、「これは還付金を受け取るための操作です」と偽り、実際には犯人の口座へお金を振り込ませる操作をさせます。
- 「画面に『振込』と出ますが、これは還付金を受け取るための手続きなので、指示通りに進めてください。」
- 「入力する番号は、還付金コードです。間違えないように入力してください。」(実際は犯人の口座番号)
- 「通帳の残高を確認する操作ではありません。還付金を受け取る最終確認です。」
この間、電話を切らせないよう、常に会話を続け、周囲の目が届かないように注意を促すこともあります。
高齢者ご自身ができる具体的な対策
ご自身やご家族が還付金詐欺の被害に遭わないために、以下の点に注意し、日頃から意識しておくことが重要です。
- 「還付金」「ATMで手続き」は詐欺のサインと認識する: 公的機関が電話でATMでの還付金手続きを指示することは絶対にありません。このような電話は、詐欺だと認識し、すぐに電話を切ることが最も重要です。
- 個人情報は安易に教えない: 電話や訪問で、氏名、住所、口座番号、暗証番号などの個人情報を尋ねられても、絶対に教えないでください。公的機関がこれらの情報を電話で尋ねることはありません。
- 急かされても冷静に対応する: 「今日が最終日」「今すぐ手続きをしないと間に合わない」などと急かされても、決して慌てず、一度電話を切って冷静になりましょう。
- 不審な電話はすぐに切る: 少しでも怪しいと感じたら、相手の言い分を聞かずにすぐに電話を切りましょう。それが最も確実な防御策です。
- 相談窓口を活用する: 不審な電話や訪問があった場合は、すぐに家族や警察(電話番号:#9110 または 110番)、消費生活センター(電話番号:188)に相談してください。
家族ができる具体的なサポートと伝え方のポイント
高齢の親御さんを持つご家族が、詐欺被害から親を守るためにできることはたくさんあります。
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日頃からの声かけと情報共有:
- 「最近、こんな詐欺があるらしいよ」といった形で、日頃から世間話のように詐欺の手口を共有しましょう。深刻な口調ではなく、軽い会話の中で伝えることで、親御さんも話を聞き入れやすくなります。
- 「もし変な電話があったら、すぐに教えてね」「困ったことがあったら、いつでも相談してほしい」と、気軽に相談できる関係性を築いておくことが大切です。
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共通認識を持つ:
- 「市役所や警察の人が、電話でお金の話やATMの操作を求めてきたら、それは詐欺だから絶対に相手にしてはいけない」という共通認識を家族全員で持ち、親御さんにも明確に伝えておきましょう。
- 「還付金は必ず書面で通知が来る」「ATMで還付金を受け取ることはない」といった具体的な事実を伝えることも有効です。
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連絡先の共有と確認:
- 警察や消費生活センターの連絡先をメモし、電話機の近くなど、すぐに目につく場所に貼っておきましょう。
- 家族の連絡先も、親御さんがすぐに連絡できるよう、改めて確認しておくと安心です。
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留守番電話の活用:
- 自宅の電話機を常に留守番電話設定にしておき、知らない番号からの着信には出ないように促しましょう。詐欺犯は留守番電話だとわかると、すぐに電話を切る傾向があります。
- 「知らない番号からの電話は留守番電話にして、誰からの電話か確認してからかけ直すようにしよう」とアドバイスしてください。
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不審なATM操作に注意を払う:
- 親御さんが不自然にATMに赴いたり、長時間ATMを操作している様子を見かけたりした場合は、優しく声をかけ、状況を確認してください。
- 「何か困っていることはない?」「一緒に手続きを見ようか」といった声かけが有効です。
まとめ
還付金詐欺は、公的機関を装い、信頼を逆手に取って金銭を騙し取る悪質な犯罪です。「還付金」「ATM操作」というキーワードが出たら、詐欺を強く疑い、すぐに電話を切ることが重要です。
ご家族の皆様は、日頃から親御さんとコミュニケーションを取り、最新の詐欺手口について情報共有を心がけましょう。そして、「困ったことがあればいつでも相談してほしい」というメッセージを伝え、相談しやすい環境を整えておくことが何よりも大切です。もし不審な連絡があった場合は、一人で抱え込まず、すぐに警察や消費生活センター、そしてご家族に相談してください。
高齢者詐欺対策ナビは、大切なご家族が詐欺被害に遭わないよう、今後も最新の情報を提供してまいります。