家族を騙るメッセージに注意!SNS乗っ取り・偽家族メッセージ詐欺の最新手口と対策
高齢の親御さんを持つ皆様、日頃からご家族との連絡にスマートフォンやSNSを活用されていますでしょうか。現代社会において、家族間のコミュニケーションツールとしてSNSやメッセージアプリは欠かせないものとなっています。しかし、その利便性を悪用し、大切なご家族を騙ってお金や個人情報を奪い取ろうとする巧妙な詐欺が横行しています。
今回は、「SNS乗っ取り・偽家族メッセージ詐欺」と呼ばれる手口の最新動向と、ご自身やご家族を守るための具体的な対策について詳しく解説いたします。
導入:親しい家族を装う、巧妙な詐欺にご注意ください
「SNS乗っ取り・偽家族メッセージ詐欺」は、文字通り息子や娘、孫など、親しい家族になりすましてメッセージを送りつけ、金銭を要求したり個人情報を聞き出したりする手口です。
詐欺師は、高齢者の方々が「家族からの連絡であれば信用してしまう」という心理を巧みに突いてきます。見慣れない連絡先からのメッセージであっても、家族の名前が使われていれば、つい安心して返信してしまうかもしれません。しかし、そこに落とし穴が潜んでいます。
最新手口の具体例:息子や娘を騙るメッセージの巧妙さ
この詐欺にはいくつかのパターンがありますが、特に注意すべきは以下の2つです。
1. SNSアカウント乗っ取り型
これは、実際に家族のSNSアカウント(LINE、Facebookなど)が何らかの方法で乗っ取られ、そこからメッセージが送られてくるケースです。
- 具体的な状況: ある日、いつものようにメッセージアプリを開くと、息子さんや娘さんのアカウントから「機種変更したばかりで、データ移行に困っている」「スマホが壊れてしまって、今新しい携帯を使っている」といったメッセージが届きます。
- 巧妙な手口: 詐欺師は、そのメッセージのやり取りの中で「コンビニで電子マネーを購入してほしい」「新しい携帯の設定のために、あなたの電話番号や認証コードを教えてほしい」などと要求してきます。家族からのメッセージなので疑わず、言われた通りにしてしまうことが多いのです。特に「急いでいる」「後で説明する」といった言葉で判断を急がせる傾向があります。
2. 見知らぬ番号からの「緊急メッセージ」型
これは、家族のSNSアカウントが乗っ取られていない場合でも、見知らぬ電話番号からショートメッセージ(SMS)が届くケースです。
- 具体的な状況: 突然、知らない電話番号から「新しい電話番号になったよ」「携帯が壊れて連絡できないから、この番号で連絡してね」といったSMSが届き、続けて「〇〇(家族の名前)だよ」と名乗ります。
- 巧妙な手口: 詐欺師は、そこからLINEなどのメッセージアプリへの誘導を促したり、「急ぎでお金が必要になった」「今すぐ〇〇万円を振り込めないか」などと、金銭を要求してくることがあります。緊急性を装い、電話での確認を避けようとするのが特徴です。
これらの手口は、高齢者の方が普段から家族とメッセージのやり取りをしているほど、騙されやすくなる傾向にあります。
高齢者ご自身ができる具体的な対策
ご自身が詐欺の被害に遭わないために、以下のポイントを日頃から心がけるようにしましょう。
1. メッセージが来ても「まず疑う」習慣を持つ
- たとえ家族の名前で送られてきても、「本当に家族からのメッセージだろうか」と一度立ち止まって考える習慣を持つことが重要です。
- 普段と違うメッセージの口調や内容、送られてきた連絡先(電話番号やアカウント名)がいつもと違う場合は、特に注意が必要です。
2. 必ず本人に「別の方法」で確認する
- 不審なメッセージが届いても、そのメッセージの連絡先には絶対に返信しないでください。
- 以前から知っている家族の電話番号に直接電話をかけるか、別の家族に連絡を取り、事実関係を確認してください。
- 万が一、家族と連絡が取れない場合は、時間をおいてから再度連絡を試みるようにしてください。
- 家族間で「本人確認の合言葉」を決めておくのも非常に有効な対策です。「もし新しい連絡先から金銭を要求するメッセージが来たら、この合言葉を言ってもらう」といったルールを設けることで、詐欺師を見破ることができます。
3. 個人情報や金銭要求には絶対に応じない
- 「コンビニで電子マネーを買ってきてほしい」「銀行口座に送金してほしい」「暗証番号を教えてほしい」といった要求は、詐欺の典型的な手口です。
- 家族であっても、電話やメッセージでこのような要求をすることはほとんどありません。
- 絶対に指示には従わず、一旦冷静になる時間を持ちましょう。
4. 不安を感じたらすぐに相談する
- 少しでも「これはおかしい」と感じたら、一人で抱え込まず、すぐに周囲に相談することが大切です。
- 警察相談専用電話「#9110」や、地域の消費生活センター(全国共通ダイヤル「188」)など、公的な相談窓口を活用してください。
家族ができるサポート:大切な親を守るために
親御さんが詐欺の被害に遭わないよう、お子さんである皆様にもできることがあります。
1. 積極的にコミュニケーションを取る
- 普段から親御さんと密に連絡を取り、日々の生活状況や最近あった出来事などを把握するよう努めてください。
- 親御さんが不安や疑問を感じた際に、気軽に相談できるような信頼関係を築くことが最も重要です。
2. 詐欺の手口を具体的に伝える工夫
- 漠然と「詐欺に気をつけてね」と伝えるのではなく、今回ご紹介したような具体的な手口や事例を交えながら説明すると、親御さんもイメージしやすくなります。
- 「もしこんなメッセージが来たらどうする?」などと問いかけ、親御さん自身に考えてもらう機会を作るのも良いでしょう。
- 「うちは大丈夫」「自分だけは騙されない」といった過信をさせないよう、身近な問題として伝えることが大切です。
3. 連絡のルールや合言葉を決めておく
- ご家族間で「新しい連絡先から金銭の要求があった場合は、必ず電話で確認する」「メッセージで金銭に関するやり取りはしない」といったルールを決めておきましょう。
- 先述の「本人確認の合言葉」を決めて、家族間で共有しておくことは、詐欺対策として非常に有効です。
4. スマートフォンの設定やセキュリティの確認
- 親御さんのスマートフォンのセキュリティ設定や、不審なメッセージをブロックする設定などを一緒に確認してあげましょう。
- 信頼できるセキュリティソフトの導入を検討するのも一つの方法です。
5. 不審な点があったら一緒に相談窓口へ
- 親御さんが「変なメッセージが来た」「もしかしたら詐欺かもしれない」と感じた場合、一人で悩ませず、お子さんである皆様が積極的に警察や消費生活センターなどの相談窓口へ連絡をサポートしてあげてください。
まとめ:家族で力を合わせ、詐欺から身を守りましょう
「SNS乗っ取り・偽家族メッセージ詐欺」は、信頼している家族を装うため、非常に騙されやすい手口です。しかし、これらの手口を知り、適切な対策を講じることで、被害を防ぐことができます。
大切な親御さんを守るために、ご家族が一体となって詐欺対策に取り組むことが何よりも重要です。日頃からのコミュニケーションを密にし、少しでも不審な点があれば、すぐに相談し、確認する習慣を身につけていきましょう。